ロックを聴くな
ゴールドラッシュの
野蛮人みたく
開拓精神のルサンチマン
ロックンロールなんて
おっさんの脇の匂いがする
ロックンロール
芸術なんてわかりやしない
酒とオナニーしか知らない
聴いているやつはみんな負け犬
タバコも吸えない 女は抱かない
隅っこで小さくなるだけなら
偉そうにできるわけではない
ロバートプラントが現れて
ぜひ蹴散らしてくれ
ひきづり出されて舞台に上がれば
内気な牙が黄ばんでいるのがわかる
セクシーでもない スミスばっかり聴いてる 読書もしてる ネズミのくせにリーゼントをしてる 笑い物だ 文学がどこにある 哲学がなんだ
ろくでもない 肌は荒れてるし 声は歪んでる そっけないクリーントーン
死んだ魚の目 筋肉はない
猫背の陰気がロックンロール
頭の中の文化祭で
自分中心の妄想で
ナルシストの心中担当
目立つことばかりで
人の気に疎いから
似合わない髪染めに
服は黒尽くめ
身内だけのパーティだからか
死神に憧れてる?
寒気がしないか 失望する ロックンロール ロックンロール 弱者の慰め 開き直ってキラキラするな
人の気持ちは考えない脇役
生きがいみたいに語る顔は虫ケラみたいに歪んでる
一発逆転なんてないのに
呪文みたいに唱えて
ロックンロール
髪を染めて
寝転がっていたいし
目立ちたくない
歌う姿も
鶏みたいに滑稽だ
タバコは怖くて吸えないし
女と話すのは恥ずかしいだろ
ロックンロール
なにも回りもしないのに
じたばたのたうち回って
ロックンロール
なにも正当化できないのに
ギターが弾けても
歌を歌っても
チャラになるわけじゃない
ハイエナたちは
おまえを暴きたがるんだよ
冴えないおまえの陰気な真実を
ベッドルームのせいえきまみれのティッシュの中に夢は全部捨ててきた
ロックンロール
なにもはじまりはしないのに
いまや便所飯の慰みもの
かっこよくない
セクシーでもない
ロックンロール
慰安所便所コオロギの死骸
ださい男の僻み
ださい女の嫉み
ロックンロールなんてきくな
ロックンロールなんてきくな
太陽が必要だ
不条理を蹴散らす
アルジェの太陽が
ロックンロールなんて聴いて
救われない
なのに今日もイヤフォンで耳を塞いだ
出来損ないの大根連中の中で
咲かない花は倒れていた